寒い時期から徐々に気温も上がり、夏を感じさせる季節になりました。
暦でも、6月6日は七十二候の「芒種」。
この頃は春に咲いた花たちが実を結ぶ時期です。
私が「もう6月か〜」と季節を感じたのは、梅干しを口にしたとき。
風情のかけらもありません。
そんなとき、ふと素朴な疑問がわいていきた。
「梅干しってなんで酸っぱいのだろうと?」と。
幼少のころ、祖父が梅干しを漬けていたのをよく見ていました。
記憶が正しければ、容器の中に入っていたのは、梅の実と塩だけ。
梅の実って、塩で漬けていけば酸っぱくなるの?
私は肝心なところを知らないまま、50年の月日を費やしていたのです。
そして、その真実をいま知ることになる。
梅干しはなぜ酸っぱいの?
答え:梅の実はもともと酸っぱい果物
梅の実は、レモンに豊富な事で知られる「クエン酸」を多く含んでおり、完熟するとプラムのように甘酸っぱい果実になります。
梅の実には数種類の酸っぱい成分が含まれており、特に「クエン酸」はレモンの5倍から6倍も含まれているとか。
塩漬けしても、主成分の「クエン酸」という成分が残るため、酸っぱい梅干しになるのだそうです。
豆知識
梅はバラ科に属しており、「スモモ」・「アンズ」とおなじ仲間になります。
未熟な梅の実は中毒をおこす可能性があるそうです。
「スモモ」と「アンズ」の仲間だなんて。それは酸っぱいはずだ。
熟した梅の実を食べれば答えはわかりましたね。
あらためて梅干しの作り方を知る
体によい「クエン酸」。効能といえば疲労回復。
筋肉に溜まっている乳酸を減少させる働きがあるそうです。
まずは梅漬けをつくる
工程はいたってシンプル。
- 「青梅」を水洗いし、拭き取る。
- 「青梅」のヘタを取る。
- 容器に梅と粗塩を入れ、漬け込む。
- 冷暗所にて保管。数日後、梅から水分(梅酢)が出てきて、全体が梅酢に浸かる。
- アク抜きしたシソ漬けを足してさらに漬け込めば、赤い色とシソの風味がする「梅漬け」に仕上がる。
梅漬けから梅干しへ
「三日三晩の土用干し」
梅雨が明けるのを待って、天日干しをします。
容器から梅を取出し、3日間天日に干せば「梅干し」の出来上がり。
今は温暖化の影響もあり、7月の梅雨明けまで待たなくても天日干しに適した気候(晴天つづき)になる年もあります。
昔からの慣習にとらわれず、自分で良いと思ったタイミングではじめていいかもしれません。
梅干し作りはたいへん
「梅干し」は疲労回復にはうってつけの食材。
ご飯のお供にかかせないアイテムとして、いまだ絶大な人気を誇っています。
ですが「梅干し作り」は、カビがつかないように、作業に細心の注意を払わなければなりません。
その工程は常に菌との闘いです。
あらためて、梅干し作りの工程をおさらい
- 「青梅」は水で2,3回、かるく揉み洗いして産毛と汚れを落とす。
梅を1個づつキッチンペーパーで水気を拭く。 - ようじや竹串を使って「青梅」のヘタを取り除く。
- 清潔な容器の中に、「青梅」と梅の重量に対して約18〜20%の「粗塩」を、数回に分けて交互に入れていく。
入れ終わったら容器に食用アルコールを吹きつけ(フタにも)、梅には小さじ11/2のホワイトリカー(または焼酎)を回し入れる。 - 冷暗所にて保管。梅酢が上がってくるまで毎日容器ごと振る。
数日後、梅から水分(梅酢)が出てきて、全体が梅酢に浸かる。 - シソの葉を摘み、よく洗う。大きめのボウルに入れ塩でもみ、アクを絞り出す。3回ほどくりかえす。
アク抜きが終わったシソに梅酢を加え、もみほぐしていく。シソが赤色に変わったら容器に入れる。
さらに漬け込んでいけば、赤い色とシソの風味がする「梅漬け」に仕上がる。 - 容器から梅を取出し、ザルにならべる。
梅はまんべんに日が当たるよう裏返しながら、三日三晩天日干しをすると「梅干し」の完成。
天日干しは日が暮れても室内には入れない。(水分は絶対つかないようにする)
長期保存するために塩漬けにし、およそ1ヶ月もすると、「青梅」が「梅干し」へ大変身。
その工程一つ一つに、カビが生えないようにする意図があり、とても繊細な作業だということがわかりました。
裏技?
手始めとして、材料をスーパーで揃えていいかも。
ジップロックでしたら清潔なので容器がわりに使って。
シソ漬けも売られているので、塩もみの手間も省けるし。
これだったら気楽に梅干しづくりを楽しめそう。
さいごに
先日、母が漬けた「梅干し」がでてきました。
大事に少しづつ食べていたのに、残りわずかのところで放置状態。さすがに口にすることはできません。
母はすでにあの世へと旅立っています。
食べることができない「梅干し」で、
離れた梅畑まで自転車で移動する母、梅の実を取る母、梅を漬ける母、
いろんな場面が浮かび上がってきます。
ついでに、ぜんぜん関係ない思い出もでてきちゃって・・・。
「梅干し」はその時の時間も一緒に詰め込まれているようです。
思い出とともに口にするから「梅干し」は美味しいのでしょう。
さいごにお母さん、ごめん!「梅干し」食べきってなかった〜〜!!
化けて出てこないでね〜! 🙏
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